2016年3月13日日曜日

遊ぶ春日は 暮れずともよし 故郷新潟4泊5日② ~高田・長岡、食べて呑む~

2月27日0300に起床。


前夜に私の生き方や考え方について不満を表明した(これは帰省時の慣例になっているが)父のご機嫌取りをかねて、雪かき。




朝食。


今回の帰省は数年ぶりの実家複数泊。しかも土日と重なった。これ自体いつ以来だかわからない。ということは、「えちごツーデーパス」が使えるってことだ。

どこに行くか事前には全く決めておらず、何となく西へ。最初は糸魚川を目指すつもりだった。あそこはフォッサマグナ西縁、親不知、市振の関と見所満載だ。しかし、この日は夕方5時には長岡にいたかったため、糸魚川はちょっと遠すぎた。よって、高田ということにした。



昨年の北陸新幹線開業にともない、JRから切り離された在来線を引き継いだ第三セクター「えちごトキめき鉄道」。「えちごツーデーパス」も使えるのは良い。



高田駅。初めて降りる。



参考書にも載るような、日本を代表する城下町である。


まずは腹ごしらえ。


高田で讃岐うどんというと奇異に映るかもしれないが、そんなことはない。高田と香川は浅からぬ縁がある。

ドイツの気候学者・ケッペンが作ったオリジナルの気候区分によると、実は上越は「地中海性気候」に分類される。冬の最湿潤月降水量(423.1mm)が夏の最乾燥月降水量(95.7mm)の3倍を超えるからである。しかし、新潟・上越地域と地中海地域では植生・景観があまりにも異なるため、「最少雨月降水量が30mm未満」という条件が後に足された。したがって、現在は北海道を除く日本の大部分と同じく、ここは温暖湿潤気候に分類される。




一方で、瀬戸内海地域はご存じの通り、中国山地と四国山地に挟まれて、年間を通じて雨が少ないため、地中海でもよく育てられ、乾燥に強いオリーブなどの産地になっている。

ね。つながったでしょ。

気候に関する蘊蓄が長くなったが、うどんはたいへん美味でした。するめ、じゃこ、せせりと、天ぷらも旨い。




歓喜踊躍山浄土真宗興行寺、略して浄興寺。親鸞の創設。『教行信証』を完成させ浄土真宗を完成させた喜びを山号にしたという。親鸞というより空也や一遍っぽいな。常陸・信濃などに幾度かの移転の後、上杉謙信の招きで越後に移る。ぜひ行きたかったが、残念ながら時間がなかった。




高田城趾、高田公園。県内では桜の名所として知られる。




公園内の「上越市総合博物館」に入る。このすばらしい城下町の間違いなく誇るべき歴史を、つぶさに見せてくれるのだろうと期待したのだが、「探検 むかしのくらし」という子ども向けの企画展の他は見るべきものなし!え?ここって、上杉謙信書状とか収蔵しているんだよね?それ見せてほしいんだけど!あと高田藩の歴史のわかるやつとか。そんなの全然なし。まさかそんなはずはないと思って、見落とした展示室がないか館内地図を見直したけど、それらしい様子なし。

直言するが、これではダメだ。せっかくすばらしい歴史を持っているのに、それがわかるように展示しないのは絶対にもったいない。

エミール=ガレのガラス工芸や陶器も展示されていたが、あれは見るものではなくて使うものだと思う。そもそも、アール・ヌーヴォーとは、イギリスのウィリアム=モリスが、産業革命以降の大量生産品を否定して、中世的な職人による手作業の再生を提唱したことに始まるわけで、基本的には実用の美だと思うのだが。

小林古径も、高田出身と言うことで、作品が展示してあったが、私には良さが伝わりませんでしたね。

ミュージアムショップも、カウンターにクリアファイルなどが並べてあるだけ。まあ、これはくむべき事情がありそうだが。

あまりのことに放心しつつ、50円で買ったコーヒーを飲みながら飲食スペースで外の景色を見る。






高田城。築城主は徳川家康の六男・松平忠輝。葵の御紋がまぶしい。




高田城三重櫓。中に入ることもできるけど、先ほどの博物館の展示を考えると、あまり期待できないので入らなかった。



櫓下に高田藩の年表。高田藩は松平忠輝が75万石で入るものの改易され、幾度かの藩主家の入れ替えの後、榊原家が1741年以降15万石で統治した。石高に不相応な城下町の大きさから、榊原家は規模縮小を行い、町の中をも開墾したという。城下町はごちゃごちゃとたくさん建物が建っていることが多いし、高田にもそういうところがあるけど、結構開けたところもあるのは、そういう事情があるのかも。

というか、こういうのが知りたいのですよ!もう一度言うけど、上越市立総合博物館はその展示内容をもう少し見直した方がよい。






積雪のよく似合うキリスト教会建築。



アベ政治は許さないそうだ。



「呉服町」という、いかにも城下町な地名もある。



昼に入った「鶴越」の通りを挟んだ向かい、この急な螺旋階段を上ったところに喫茶店「シティーライト」がある。



店前に「本日のおすすめ ブラジル」とあったのでそれにしようと思っていたが、「コンチネンタルブレンド珈琲」欄の「ソフト→番茶 スタンダード→煎茶 ノアール→玉露」という表現に惹かれてノアールにした。


シュトーレンも注文。しかしここのコーヒー、結構高い。以前も言ったけど、僕は600円のコーヒーと700円のコーヒーの間には高い壁があるというのが持論だ。700円となると、飲む側が身構える。ヘタなものは出せない。それに、この値段で地方都市でやっていけるのかなと、余計な心配をしてしまった。良い店ですけどね。

で、今気がついたけど、この店を紹介しているサイトがわりとかっこいい。



往き道は深夜早朝の雪かきの疲れからほとんど寝ていたが、帰りは起きて信越線の車窓から冬の鈍色の日本海を楽しむ。青海川駅はテレビドラマ『高校教師』の最終回で有名。



長岡に着き、「魚仙」に入る。太田和彦大先生の「日本百名居酒屋」選定店である。いつかこようと思っていた。






ここの名物「利き酒セット」。これだけで十六種類も組合せのメニューがある。呑んでみての感想は、5種類もあると集中力が保てないなと。私には3種類くらいがちょうど良いみたい。



料理はコースにした。


何とかいう海草。旨い。






この日オススメだったナメタガレイの煮物。





バイ貝。あんまり得意じゃないんだけど、残さず全部たいらげた。






このきのこ入りごま豆腐あんかけはとても良かった。甘くないのが日本酒向きなのだろうか。






コースは8品のはずなのだが、11品出ていた。ご主人曰く、「コースの方にはサービスします」とのこと。このマグロぶつとろろ昆布も良かった



これは鯨大和煮っぽかった。

本当はなあ、きのこおろしとか、小ふぐ唐揚げとか、なめろうとか、特選油揚げとか、水頭とかも食べたかったなあ。次はコースではなく単品だな。



熱燗が飲みたくて、何となく「鶴の友」にした。メニューに書いてある解説が、熱燗に合っているっぽかったからだけど、後で私の隣に座っていた東京から来たお若い女性二人連れに、ご主人が「熱燗なら鶴の友がオススメ」と言っていたので、さすがは俺だなと思った。読解力が高い。



最後に梅茶漬けでしめる。本当はこの店隣のラーメン屋「ポアル」に久しぶりに行こうと思っていたが(2004~06の長岡勤務時代はよくお世話になった)、満腹で断念。

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